英検1級を受けてみた【1次】

 これまで何度か英検の話題にふれましたが、実はわたくし、かれこれウン十年も英検から遠ざかっておりました。あれは確か3級、もう遥か昔の中学時代だったかしらん・・・当時はまだ中学生が英検を受けるというのが一般的でなかった時代で(単に私が田舎民だったからかもしれません( ^^) ~)、何かヤンキーっぽい高校生風のお兄さんお姉さん方の軍団に囲まれて受験したような記憶があります。というか当時田舎の高校生は男女問わず気〇團みたいなルックスがデフォという時代でした・・・

 それ以来、何となく面接試験というものに高いハードルを感じたのと、まずはTOEICに集中したかったので英検は受けずじまいにいたのですが、やはり英語を学んでいくうえでリーディング・リスニングだけの勉強をしていたのでは総合的な力が身に付きません。ライティング・スピーキングも伸ばしていく必要があると感じ、そのとっかかりとして再び英検にチャレンジすることに決めたのです。

 もちろん現在ではTOEICでも「S&W」を利用すれば4技能を総合的に測ることができるようになりましたが、これ単体で¥10,450円するんですよね・・・L&Rと合わせると軽く15,000円を超えてしまいます。
 英検なら1級でも¥10,300で受けられますし、そもそも「S&W」の認知度自体がまだまだ低い現状では・・・

 だったら英検受けるほうがコスパよくね?

 というのが私の結論でした。もっとも1次敗退したらこの計算は全く成立しないのです、いずれにしてもコロナコロナでいつになったら普通にTOEICを受けられるか分からない状況では、うじうじしてたって仕方ないですしね・・・

 というわけで今回初めて英検1級を受験してきたので、そのあれやこれやを書いてみようと思います。

英検1級の合格レベル

 まずは何にしても情報収集からということで、まずは英検1級がどのくらいの難易度なのかを調べることから始めました。
 ネットで調べるとソースによってかなりばらつきがありますが、私が確認した限りではTOEICでいうと800点台後半以上のスコアがあればチャレンジ可能な圏内のようです。平均的には900点台のスコアが取れていることが望ましいと言われています。

 ただ800点台の前半でも1次を突破したという方はいます(※Youtube調べ)ので、対策次第では必ずしもTOEICのスコアにこだわらずチャレンジしてもよいと思います。
結果的に私が初めて英検1級にチャレンジしたのはTOEICで925を取れてからでしたが、これはちょっと遅すぎだったかもしれません。

 ただし英検とTOEICではリーディング・リスニングのパートに限っても出題形式や内容にかなり違う点がありますので、たとえTOEICで950以上取れているような実力者の方でも英検対策なしで1級に合格するのは厳しいと思います

最大の関門「語彙問題」

 その最たるものが英検1次の最初の大問で出題される「語彙問題」です。

 英検1級の1次対策はほぼこの語彙問題対策に終始するといっても過言ではありません。ここではTOEICで扱う一般的なビジネス英語のレベルではほぼ出てこないような単語が出題されます。実際にここまでの単語レベルが必要かはさておき、問題数(リーディング全41問中25問)から言っても、ここをクリアしない限りは1次試験を突破できないのだから、やるより他にありません( ノД`)

 ただ、よくYouTube動画などで英検1級の単語帳を「ネイティブでも分からない単語だらけ」などとネタ化してたりするのも見かけますが、同じネイティブといっても語彙レベルはその人によってピンからキリまで様々です。日本人でも語彙に乏しい人はいくらでもいるのと同じで、たまたま動画に出てる「ネイティブ」が知らないからといって覚える必要がない単語だとは限りません。

 実際、この2年ほど英検1級の単語帳をベースにボキャブラリーの蓄積に励みましたが、海外の一般的なニュースサイトなどで「ん?」と引っかかる単語のかなりの割合が英検1級の単語帳でカバーされているのに驚きました。

 ということはつまり、一般的な大卒程度のネイティブはこの程度の語彙は概ね身に着けているレベルだということです。だって私たちでも日本語のニュースサイト読むときにいちいち辞書を引くことなんてあまりないわけですから・・・

 やれば確実に読解の幅が広がりますので、英検1級を受ける予定のない人でも1級の単語帳はやっておいて絶対に損はないと思います。

 語彙対策で私がインプットに使ったのは、英検1級ではこれしかないと言われる旺文社の単語帳です。最近は他にもいろいろと選択肢が増えましたが、迷うようであればこれを選んでおけば間違いはないと思います。

 しかしこれ、厚みでいうと準1級の5割増し程度なんですが、最初の内はほんとに何周やっても頭に入る気がしないんですよね・・・結局2年ほどヘビーローテーションしたけど未だに6割くらいしか入ってない気がします。。。(*´Д`*)

 ん?・・・ということは?・・・そう、そうなんです!! そんなレベルでも合格できるってことなんですよ!!

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 語彙対策は過去問だけでは少し不安だったのですが、最近はセクション別に問題集が出ています。何社か出ていますが、ジャパンタイムズ社の問題集が難易度的にもボリューム的にもちょうどいい感じで解説もくわしく、値段的にもおススメです。試験直前はもっぱらこれをリピートしてました。

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長文対策は過去問あるのみ

 長文問題に関しては、TOEICほどのボリューム感はありませんが、学術的な文献など、文法的にも内容的にもかなり高度なものを短時間でさばく必要があり、決して時間的に余裕がある訳ではありません。

 ただ一見本文が難しそうな場合でも、設問は比較的容易に解答できるように調整されていることが多いような気がします(主観的憶測)。いずれにしても、一見して難しそうだからとあきらめてしまわないことが大切です。(これはTOEICでも同じです)

 リーディング対策は基本的には過去問を当たり、出題される英文の内容と難易度をつかんでおけば十分だと思います。私は特にセクション別の問題集は使いませんでした、というか単に余力がなくてそこまで手が回らなかったと言うべきか・・・
( ノД`)シクシク…

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ライティング(英作文)について

 TOEIC(L&R)になくて英検にあるのが英作文です。

 作文というと小中学生時代の国語の授業の「何を書けばいいかよく分からないけどとにかくひたすらマス目を埋めさせられる強制ノルマ労働」的なトラウマから苦手意識を持たれる方も多いかもしれませんが、英検で求められる「英作文」はそういうエッセイ的な漠然とした「作文」ではありませんので、念のため。

 英検1級の場合、まず明確なテーマ(「環境保護は経済発展にとってマイナスか否か」みたいな感じです)が5つ与えられ、そこから1つを選んでそれに対する賛否およびその理由を3つ200~240語以内で書くというもので、作文というよりレポートとか小論文というほうが近いかもしれません。

 テーマはもとより、フォーマットまでがちがちに縛られるので自由度はほとんどありませんが、逆に言えば形式にさえ慣れておけば考えなくても半分以上機械的に書けてしまうので、実は一番対策を立てやすく、短期間でもスコアを伸ばせるパートです。

 また、形式上は筆記試験で4つある大問のうちの一つという体裁ですが、配点はリーディング・ライティングで均等ですので、筆記試験のスコアのうち半分は英作文で決まります。語彙問題や長文がどうしても苦手という方は作文のパートを集中的に対策して点数をカバーするのもありかもです(TOEIC800点台前半で1次を合格された方はこの戦略だったみたいです)

 またこのセクションの対策は後の2次試験の面接対策にも直結します
 というのは2次試験でもメインの部分はお題に対する賛否とその理由を2、3点述べるという形式なので、結局紙に書くか口頭で言うかというアウトプットの仕方の違いはあっても、解答を組み立てる脳内のプロセスそのものはほぼ共通するからです。

 過去問だけでも出題傾向は十分つかめると思いますが、私は英作文の試験というものが初めてで不安だったのでセクション別の対策本を利用しました。これも複数社から出ていますが、私的にはやはりジャパンタイムズのものがレベル的にちょうど良かったです。

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【以下個人的主観】
 旺文社の過去問集の参考解答例を見ると、構文的にも単語レベル的にも非常に格調高い超ネイティブレベルのウルトラ模範解答が載っていますが、あれはとても実際の試験会場で常人に書けるものではありません。(※たまにあれを見て「自分にはこんなの書くのは永遠に絶対無理だ」と受験自体を断念してしまう人もいるようですが、辞書も使えない試験会場であんなものを限られた時間内に書き上げられる受験者はまずいませんので、念のため。)
 その点、本書の解答例は超上級者にはいささか物足りないと感じられるかもしれませんが、普通レベルの受験者が実際に試験会場で書ける合格水準の目安としては、こちらを参考にする方がいいと思います。

英検1級のリスニング

 英検1級のリスニングは、出題される英語のレベルや速さはTOEICとそれほど差はありません。発音は基本的にアメリカもしくはイギリス英語のいずれかで、カナダやオーストラリアの話者までランダムに出てくるTOEICより聞き取りやすい印象です。

グループレッスン

 ただしビジネス英語中心のTOEICとの違いとして、コンテンツの内容の幅が圧倒的に広いです。形式も会話やアナウンスだけでなく、学術的な内容の長文朗読やインタビュー形式などもあり、内容・形式ともTOEICよりも幅広いコンテンツに対応することが求められます。

 また2~3分程度の長さのあるコンテンツの(細部ではなく)大意をつかんだり、逆に短時間で所定の条件に当てはまる選択肢を選ぶといった、TOEICのリスニングとは違った聞き方も求められますので、TOEICのリスニングが得意な人であっても事前に問題集で英検の出題形式に慣れておくことは必須です。

 ここも過去問に加え、セクション別の問題集を利用しました。またまたジャパンタイムズ社、ほんと英検1級ではお世話になりました。。。ジャパンタイムズ社のシリーズは難易度もちょうどよく、パート別の説明もとても詳しいのでどれもおすすめです。

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会場入り

 さて、いざ当日。会場になったのは某私立中学校だったのですが、私が受験した会場では級別にフロアを分けていて、1級は最上階でした。まあ分かりやすいんですが、1級は受験者も少なくて、階段上っていくときの他の級の受験者からの視線が微妙に痛かったりしたとかしないとか・・・(自意識過剰

 で、いざ着いてみると設営されてるのは最上階のフロアに1教室だけ、全部で20人前後くらいしかいませんでした。(※ちなみにこの時はまだコロナ騒動が広がる前でした)

 入っても座席表らしきものが見当たらずウロウロしてたところ不審に思われたのかw、係員の人が親切に声をかけてくださいました。曰く、「どこでもお好きなところにおかけください」だと。

Σ( ̄ロ ̄lll) まさかの完全自由席。。。

 いや別にいいんですけどねw、まあびっくりしました。全教室びっちびちが当たり前のTOEIC(※コロナ前)では絶対にあり得ないですもん。違うとこなんかに座ったらこわい人が来ておしおきされるし(嘘

 周りを見ると私の受けた会場では男女は半々くらいでしたが、20代くらいの大学生がメインの感じで、TOEICみたいに老若男女、学生と社会人がわらわら混ざってるようなのとはだいぶ雰囲気が違いました。ただ、後で受ける2次試験ではTOEICと同じくらいまで平均年齢が上がるように感じましたので、リピーターの割合が多いのかもしれません。

 それで試験が始まる前にふと隣の人の単語帳が目に入ったのですが、それがまだ若い人なのにものすごい年季の入りようで使い倒していて、ページの端の黒ずんでる感がハンパない・・・自分もそこそこ表紙が破れるくらいには使い込んではいて密かに悦に入っていたのですが、まだまだ甘かったか・・・、といきなり意味不明の謎の敗北感に打ちのめされてしまいました・・・

 試験前にあまり周りのことは見すぎない方がいいかもです。。。

続く

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