通訳案内士試験を受けてみたけど(以下略【後編】

 前記事の続きです。
 もう終わった試験のことをしつこくグダグダ言っても仕方ないですが、やっぱりこの試験、ちょっと闇が深いというか、いわゆる「お役所」と「業界」の利権の絡み合いの中で揺れてると思うんですよね。それに運営上の都合か何か知りませんが受験料1万円以上も払って奇問珍問に悶絶させられた揚げ句、問題冊子すら没シュートとか、いくら何でも受験者をバカにしすぎでしょ!!

 と言う訳でこのやりきれない胸の熱い思いをブログネタにぶつけることにします、いやさせてください、マジで。またまたTOEICからは脱線しますが、とりあえずTOEICの受験はしばらく(抽選なしで受験できるくらいまで)お休みするつもりなので、しばらくお遊び雑記的な記事が増えると思いますがお許しを。。。

2018年の新法による変更

 もともと歴史の浅い通訳案内士試験は年度ごとに傾向や難度がころころ変わることで有名だったのですが、中でも2018年の法改正によって大幅な変更が加えられました。主な変更点としては

・1次試験でこれまでの「外国語」「日本地理」「日本歴史」「一般常識」に加え新科目「通訳案内の実務」が追加された

・1次試験の「外国語」の免除要件として必要なTOEICのスコアが840→900に引き上げられた

 の2点があげられます。

 これと同時に新法によって通訳案内士はいわゆる「名称独占資格」となり、資格がなくても通訳案内業務自体は行ってもよいことになりました。全体的に出題内容が難化し、特に歴史科目で珍問奇問難問が目立つようになったのもこの時期からです(前記事参照)。

制度改正への疑問

 このいささかどころでない性急な制度変更には「資格試験を難しくする」というベクトルと同時に「業務への参入障壁を下げる(というか完全になくす)」という、どう見ても完全に相矛盾する2つのベクトルが含まれています。

 どうしてこんなことになったのでしょう?? 私には全く理解できません。

 もちろん昨今のインバウンド需要の増大に対応するため、通訳案内士により高いレベルの知識・技能を求めるというのは(奇問珍問はともかく)大きな方向性としては間違っていないと思いますが、その一方で「無資格者でも業務を行ってよい」とするのですから、まるで施策に整合性がなく、どうにも理解に苦しみます。

 言ってみれば医師の国家試験を難しくしておきながら同時に無免許医も解禁するようなものですからね。。。

 この先はまた例によって憶測ですが、私は観〇庁と某有資格者の団体の間で何らかの大人の駆け引き的なものがあり、そのいわば妥協の産物として受験生が生贄にされたのではないかと邪推しています。例えばこんなやりとりがあったりとか・・・
(※以下は全て中の人の妄想であり実在のいかなる団体・個人とも全く関係ありません)


業界:「これからはインバウンド、観光立国の時代よっ。でも通訳案内士なんて全然数が足りてないわ。大体ぶっちゃけもう素人でも何でもいいじゃない、とにかく数が足りてないからどうにかしてよっ」

某役所:「でもまあ、一応試験制度も作ったことだし、地域通訳案内士(※都道府県がバラバラの基準で運営しているご当地検定的な観光通訳制度を無理やり法制化したなんちゃって資格)とかも導入するからそれでどうにかやってもらえませんか」

業界:「あんなクソみたいなローカル資格、への突っ張りにもなりませんわ。てゆうか、ぶっちゃけそもそも通訳案内なんてちょっと英語しゃべれて愛想よければ別に何だっていいじゃん。だったら業務独占資格(※資格がないと業務を行えない仕事)にしとく必要性なんかないでしょ、規制緩和してよ、規制緩和」

某役所:「いやそれはさすがに困りますよ、もう有資格者の団体だって作っちゃいましたし、われわれの天下り先だって【以下禁則事項により削除】」

業界:「いやそこを何とかしてよ、頼むからさ」

某役所:「無理なものは無理です」

業界:「ああそう、じゃあもういいよ。うちの〇〇先生に頼むから。さあてイノベーション、イノベーションっと!!」

某役所:「うっ・・・いやちょっとそれは・・・」

【自粛コンテンツ】

某役所:「・・・というわけで来年から通訳案内士は名称独占資格に変更するね」

某有資格者団体:「いやそんなのいきなり言われても困りますよ! だいたい今さら制度の根本部分を変えるなんておかしいじゃないですか」

某役所:「と言われても国会で決まったことなんで」

某団体:「いや、これはわれわれ通訳案内士全体の死活問題ですよ!!」

某役所:「もう決まったことだから」

某団体:「・・・そうですか。じゃあ仕方ない、こっちも考えさせてもらいますね」

某役所:「考えるって、何をさ?」

某団体:「今後の試験運営はもちろんあれやこれやの面倒な委託業務やらあんたらの天下り先【以下既出】」

某役所:「わかりましたよ、わかりました! ・・・ではこうしましょう。試験を徹底的に難しくして超難関資格にするというのはどうです? それで新規参入のハードルは高くなり、同時に既存の有資格者のステータスもぐっと上がる。一石二鳥じゃありませんか。業務独占がなくなっても資格そのもののブランド力を高めるんですよ。そうすれば何も問題ありません」

某団体:「・・・ブランド?」

某役所:「そう、ブランドです。ステータスを上げるんです」

某団体:「・・・まあそれならちょっとは考えてもいいかも」

某役所:「ああそうそう、いっそこの際、1次免除のTOEICも840点なんかじゃなく、900以上に引き上げませんか。そうすれば世間的には過去の合格者も全員イコールTOEIC900以上の語学力ということになりますし。むしろこの改正をきっかけに資格のブランド力を高めて消費者に訴求するんです。逆転の発想です、これはピンチじゃなくてチャンスなんですよ」

某団体:「・・・ならそうしましょうかねえ(´∀`)シ」


受験生: ( ノД`)( ノД`)( ノД`)・・・

 

おあとがよろしいようで。

【おまけ】某役所の言い分

 ちなみにこの某役所様は通訳案内士向けの研修テキストを作っていて、その中ではこのように謳われています。

 全国通訳案内士は、高い語学力を有するとともに、訪日外国人旅行者に対して我が国の歴史、地理、文化等について、正確かつ直接的に伝えることができる人材であり、急増する訪日外国人旅行者や多様化するガイドニーズに的確に対応すべく、今後も重要な役割が期待されます。
 また、本改正により、全国通訳案内士試験の筆記試験において、新たに「通訳案内の実務」に関する科目が追加されるとともに、全国通訳案内士に対して定期的な研修(登録研修機関が行う研修)の受講が義務づけられたことにより、全国通訳案内士の資格を取得し、継続するためには、ガイド能力の維持・向上が求められることとなりました。
 観光庁としては、語学力及びガイドスキルの高い全国通訳案内士が「憧れの職業」となるよう引き続き認知度向上や魅力発信に取り組んで参ります。

観〇庁テキスト 第1版(令和2年5月)「はじめに」より

 しかし今時「憧れの職業」だなんて恥ずかしげもなく書いてますが、頭は大丈夫でしょうか本気で言ってるのでしょうか?
 恣意的に試験科目が追加されたり合格水準が引き上げられたりに振り回された上、合格後も利権団体の主催する定期的な研修の受講(有料)まで義務付けられた揚げ句、単なる「名称独占資格」でしかなくなったオワコン資格

ーー誰が見たってそれが今の通訳案内士試験の実態です。まあある種の自虐表現とかアイロニーとしてなら読めなくもないですが。。。

 少なくともこんなオワコン資格に「憧れの職業」とやらを見いだせるとは、私には到底思えません。老後の余暇とか趣味程度で受ける分にはいいと思いますが、そもそもこの試験1回受けるお金があるならTOEIC2回受けれますからね・・・いやまじでお金返して
( ノД`)( ノД`)ノシ~…

 

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