TOEICリスニングのスコアを伸ばすために 2

前の記事ではどういった方がリスニング対策をすべきかについて書きましたが、では実際にTOEICリスニング対策の学習法として、何をすればよいのでしょうか? 私の場合は次の順序で対策を立てました。

  • 文法事項の確認
  • 語彙レベルのチェック
  • リスニング対策の問題集をこなす

 まず当たり前ですが、聴き取りには最低限基礎的な文法事項がきちんと身に付いていることが絶対に必要です。ここを抜きにしていくら「耳から学ぶ~」みたいな音声学習をしても、単に聞きかじった単語やフレーズを並べて会話したつもりになれる程度の疑似コミュニケーション能力以上のものは身に付きません。

 次にボキャブラリーの積み上げです。これも当たり前ですが、知らない単語は聞き取れません。上級者のレベルになると知らない単語の意味を推測するというストラテジーも重要になってきますが、これにはかなり高い語彙レベルと推理力が必要です。初中級レベルのうちはそんな高等技術に時間を割くよりもベーシックな語彙のインプットに集中した方が効率的だと思います。

 この2点を押さえつつ、リスニング対策の問題集をこなしていくとよいと思います。やり方としてはまず普通に解答して答え合わせをしますが、よくありがちなのは間違った設問の解説を読んだだけで納得して終わりにしてしまうやり方です。これは非常にもったいないことです。せっかくスクリプト付きの音声データ(CD、ダウンロード)があるのですから、これを有効活用しない手はありません。リスニングの問題集は答え合わせが済んでからが学習のスタートです。具体的な手順としては、まず本文・質問・選択肢すべてについて、音声とスクリプトを照合して聞き取れなかった部分を特定してください。そして「なぜ聞き取れなかったのか」の理由を1つ1つ分析します。聞き取れない原因はだいたい次の3つに分けることができると思います。

  1. 文法的に分からない
  2. 未知の単語やイディオム
  3. 知っているのに聞き取れなかった

 1・2についてはスクリプトを調べることで簡単に解決できるはずです。もしスクリプトを読んでもこのステップでつまずくようであれば、使っている教材のレベルが実力と合っていない可能性が高いので、欲張らずに自分のレベルに合った教材に変えたほうがいいと思います。読んで理解できないものをリスニングで理解することはまず不可能です。

 見つけたいのは3です。単語やイディオムとしては知っているのになぜか聞き取れない、そういう部分をできる限り見つけ出して「聞き取れる」に変えることこそ、TOEICに限らずリスニング試験のスコアアップのカギです。

 この知っている単語やイディオムを「聞き取れる」ようにするために非常に有効だと言われているのが音読です。音読と言うと何だか非常に古典的ですが、声に出すことで文字と音声のつながりを意識化できるようになります。

 一口に音読といってもいろいろなやり方があります。最近では「シャドーイング」という言葉を耳にしたことのある方も多いと思いますが、シャドーイングも音読の一種です。シャドーイングはスクリプトに頼らず、耳から聞いた音声を頼りにお手本の音声に続けてかぶせるように音読する学習法です。私の学習経験上、シャドーイングはTOEICのリスニングのスコア改善に大きな効果があると思います。

 ただシャドーイングは数ある音読手法の中でもかなり難易度が高いので、いきなり難しい教材で始めると挫折してしまうケースも多いようです。慣れないうちは実力よりも少し易しめの教材か、すでに何周か回して使い慣れた教材を使うのがいいと思います。

 私の場合は次のように段階的にステップを踏んで学習を進めるようにしています。

  • まずはスピードにこだわらず、1フレーズずつお手本の音声を確認しながらスクリプトを見て発音できるようにします。
  • 次に、ひととおり音声が口になじんだらお手本の音声と同時に発音します。このステップではまだスクリプトを見ながら行います。お手本の音声と自分の声を合わせることで、お手本と自分の発音やアクセントの違いを明確に意識し、修正するのが狙いです。
  • ここまでできるようになってから、シャドーイングのステップに進みます。シャドーイングではお手本の音声から0.5秒くらい(?)ずらして同じフレーズをリピートします。最終的にはスクリプトを全く見ずに、音声だけ聞いてリピートできる状態が目標です。