「使えない英語」は誰のせい?
よく「日本人は英語を話すのが苦手」と言われます。実際、アラサー以上の世代ではそこそこ勉強ができて英語の成績がいい人でも「読めるけどしゃべれない」というのが普通で、全国的に有名な難関大に合格した人でも英会話はびっくりするほど苦手という人が多かったです。(もっとも今どき世代では大分事情は変わってきているようですが・・・)
そのためか、巷でもよく「英語は勉強してもしゃべれない」とか、
単語学習なんてやってもムダなんじゃない?
という声も耳にします。
実際、小学校で英語をやっていないアラフォー以上の世代でも多くの方が中・高・大と計10年以上英語学習をしているわけで、それで簡単な自己紹介さえまともにできない人が大多数という状態では、これまでの学習法がムダと感じられてしまうのも仕方ないかもしれません。
こうなってしまった原因として、小学校から英語活動が導入された現在と違い、以前は学校の授業は受験で必須となるリーディングに学習のウェートの大半が費やされ、会話などアウトプットの練習をする機会がほとんどなかったことが大きいと思いますが、より根本的な原因として「アウトプットにはアウトプット用のボキャブラリーの構築が必要」ということが理解されてこなかったことも大きいように感じます。
アウトプットはとにかくシンプルが命
たとえば単語学習では初級→中級→上級とレベルが上がるに従って難度の高い単語を学ぶようになりますが、時折「難度の高い単語=レベルが高い」という捉え方をしてしまっているケースがあります。
間違いではないのですが、こういうケースでよくあるのがゲーム感覚で次々と上のレベルの単語帳に手を出してしまい、基礎部分の復習がおろそかになっているケースです。
特に級別になっている英検では「英検2級はもう合格したから次は準1級をやる」というふうに「上の級へのステップアップ」のような意識が強く、合格した級はもうクリアした過去のものと考えて参考書なんかもついブッ●オフなどで処分しがちですが(←私だけ?(;・∀・))、実は「インプット」できる英語レベルと「アウトプット」できる英語レベルには少なからず差があるということを知っておくことが重要なのです。
ある程度英語の学習年数を重ねた方は体感的に分かると思いますが、たとえば英検1級に合格するレベルの英語力だったとしても、1級のリーディング試験で出るレベルの英語をそのままスピーキングやライティングの場面で使える人はほとんどいません。
ものすごく大雑把に言って、アウトプットの場面では1~2ランク下のレベルの文法・語彙レベルで組み立てるくらいが妥当と思います。
※但し英検の面接ではどこかにその級の単語を混ぜて「この級の単語もちゃんと使えますよアピール」するのも忘れないように。。。面接の採点基準に入ってるらしいです。
アクティブボキャブラリーを意識する
こうした違いは普段の英単語学習の場面から意識しておくことがとても有効です。
つまり漫然とやみくもに単語帳をこなすのではなく、「この単語はアウトプットに必要か」という目線で「インプット用の語彙」つまりリーディング・リスニングで出てきたときに意味が取れればそれでよいとするものと、「アウトプット用の語彙」すなわちスピーキング・ライティングなど自分がアウトプットするときに使うものの2種類に分けておき、意識的に学習に濃淡をつけるのです。
これがいわゆる「アクティブボキャブラリー」の考え方です。
この考え方で単語帳を見ると、たとえば英検1級の単語帳では一見して難しそうな単語がたくさん載っていますが(合格した今でも全然半分もマスターできた気がしませんwww)、よく見るとその単語自体は難しくても他の簡単な類義語やフレーズに置き換えることができる単語が多く、アウトプットに絶対不可欠な単語、つまりアクティブにすべき単語というのは実はそれほど多くないということが分かると思います。
つまりこういう単語はインプット用に「見たら・聞いたら分かる」程度に押さえておけばオッケーなのです。
逆に簡単そうに思える下の級の単語でも、他に類義語が見当たらなかったり別の言い回しに置き換えることができないようなものは注意が必要で、こういう単語こそ「アクティブボキャブラリー」としてアウトプットの場面でも能動的に使えるよう、綴りや用法まできちんと確実に押さえる必要があります。(なので英検のクリアした級の単語帳は絶対に捨てないで、何度も復習することが大切です。)
英語をいくら勉強しても全然しゃべれるようにならないという方は、大抵の場合この2種類のボキャブラリーの区別ができておらず、やみくもに語彙の数ばかりを増やすような学習をされていることが多いようです。いくら難しい語彙を増やしても、アウトプットに必要な「アクティブボキャブラリー」になっていなければ、インプットには使えてもアウトプットには使えないのは当たり前です。
アウトプットで使える英語を身につけるには、普段からボキャブラリーの違いを明確に意識しておくことで、より効率的な単語学習を進めることができるようになります。
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