英検1級はTOEICで何点?

TOEICスコアと英検の関連

 TOEICを受けている人の間でよく話題になるのが「英検1級はTOEICで何点くらいなのか」という疑問です。

 わたしも英検1級にチャレンジしている間、ずっとそれが気になってやたらそればかり調べてたことがあります。まあそんなことしてる暇があれば(以下略)というド正論は言いっこなしでw。。だって気になりますし。。。

 よく言われるのは「(よく分からないけど)だいたい900とかそれくらい取れないと無理なんじゃね?」みたいなラインでしょうか。実際、英検1級に合格してる人のスコアは概ね900以上取れている人が多いので、当たらずといえど遠からず、といったところでしょうか。

 ただしこれは必ずしも「TOEIC900取れたら英検1級も取れる」という訳ではないので、注意が必要です。

CEFRによる比較

 そもそも英検とTOEICでは試験の形式が全く違いますので、本来一概には難易度を比較できないというべきですが、大まかでもいいからとにかく比較対照したいという場合、語学の習熟度の統一的な国際基準としてCEFRという基準があります(※Common European Framework of Reference for Languages: Learning, teaching, assessment「外国語の学習・教授・評価のためのヨーロッパ言語共通参照枠」と訳されています)

 近年では多くの語学検定試験がこのCEFRの尺度に準拠して試験内容や難易度を設定するようになっているので、この指標を参考にすれば各検定試験の難易度を相対的に比較することが一応は可能です。

(下記リンク参照)

 そこでこれに照らすと、英検1級はCEFRのB2~C1に相当しています。これに該当するTOEICスコア(L&R)を参照すると「785~945以上」という結果が得られます。が、これではかなり幅がありますね。これはCEFRのB2レベルというのがかなり広いレンジを含めているためで、B2の最上位クラスと英検1級の合格ラインがぎりぎり重なっているのです。

 つまりB2クラスでも最上位層に入るレベルであれば、英検1級にチャレンジ可能と考えていいと思います。ある程度余裕を持って合格するにはC1レベル(リスニング490以上、リーディング455以上)が望ましいという結論になりますが、これは実感としても妥当なラインのように思います。ちなみに英検1級の合格通知にはCEFR基準での判定も並記されており、同じ英検1級合格でも「C1での合格」を最終目標にしている方も多いです。)

 私が受験した感覚や見聞きした情報から言っても800点台後半~でぎりぎり「ワンチャンあるかも」くらいではないかと思います。私が英検1級に合格した時点のTOEICスコアは900前半でしたが、ばっちり対策をしての自己ベストスコアなので、決して余裕を持って英検に合格できたわけではありません

 しかし結局のところ英検とTOEICは基本的に別物の試験なので、単純に比較や換算できるものではないということは押さえておいた方がいいでしょう。(実際TOEIC800台前半のスコアの方でも英検1級の1次に合格されたという方もいますので、やり方次第では必ずしもTOEICスコアにこだわらずチャレンジしてもよいと思います。)

英検1級とTOEICは全くの別物

 TOEICと英検1級で最も違うのは言わずもがな、面接試験の有無ですね。

 もっとも最近はTOEICでもL&Rとは別にS&W(スピーキング&ライティング)が導入され、少しずつ浸透しつつあるので、これを利用すればこの点での差はなくなりますが、実際上TOEICはまだまだL&Rのスコアだけが物差しに使われることが多いような気がします。

 筆記試験で見ても、TOEICでは基本的に全ての受験者が同じ内容の試験を受けるので、設問のレベルも初級レベルから上級者向けの難問までかなり幅がありますが、英検では級別ですので、それぞれの級に応じた難易度の設定がされるなど、TOEICと英検では形式・内容ともにかなりの違いがあります。

 なかでも英検1級で特筆されるのが最初の関門となる「語彙問題」です。

 これは1~2文のセンテンス中の空欄に4つの選択肢から当てはまる単語を選ぶというごくシンプルな出題形式なのですが、選択肢にはTOEICはもちろんその辺の英文サイトでも見かけないような単語がずらりと並びます。(下記リンク参照)

 見ていただければ分かるとおり、かなり難しい(というかこんなん見たことないわ的な)単語がずらりと並んでいますが、英検1級の1次の合格ラインはだいたい7~8割の正答が必要と言われていますので、単純に考えればこの語彙問題でも同じくらいの正答率が求められることになります。

 そして英検1級の対策に必須のマストアイテムとされるのがこちらの単語帳です。

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 実物を手に取ると分かりますが、すぐ下の準1級に比べても格段に分厚く、そして中身も圧倒的に濃くなります。 

 そしてこの語彙問題は英検1級対策の重要な関門ですが、これはほんの手始めに過ぎません。

 長文読解の問題も文化や科学技術に関するテーマなど、ほぼビジネスオンリーのTOEICに比べてかなり幅広い分野から難度の高い文章が出題されますので、TOEICでハイスコアが取れている人でも慣れておかないと苦戦すると思います。また筆記試験の最後の大問にしれっと出題される英作文(200~240語)も英語でまとまった文章を書く経験のない人にとってはかなりのハードルである上、「ライティング」として配点的にはそれまでの語彙・長文(リーディング)と同等のウェートが与えられており要注意です。

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 その代わり筆記試験の全体的なボリューム感はTOEICほどではなく、時間的にはTOEICよりも若干余裕を持って挑めると感じる方もいますので、どちらの試験が難しいとも一概には言えません。(というか受験した感覚としてはTOEICで求められる時間配分があまりにシビアすぎて英語力というよりむしろブラック企業の事務処理能力に近い気がしますが、閑話休題。)

 リスニングに関してはTOEICも英検も出題の方法は概ね同じで、最初に流される題材について聞き取り、2,3の設問に答えるという方式で行われます。ただし英検1級ではPassages形式、Real-Life形式などTOEICでは出題されないような形式の題材があります。またInterview形式では問題文が概ね3分以上あるなど、かなり長めの素材について(細部ではなく)全体の大意・流れをつかむような聴き方が求められます。

 個人的には受験するしないに関わらず、日本人の英語学習者はTOEICだけでなく、英検1級も目安にして勉強を進めていくのがよいのではないかと思います。

 というのは、英検を視野に入れるとやることが増えて大変になりますが、TOEICよりも語彙の幅や文法レベルなどがぐっと広がり、より実用的な英語に近づけると思うからです。あと単純に古い世代の人には「TOEICで900です」とかいうより「英検1級です」という方が分かってもらいやすいというのもありますがw

 英検・TOEICのそれぞれの試験の特性を理解して利用することで、より総合的な英語力を高められるのではないかと思います。

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