TOEICはなぜかいくら勉強してもスコアが伸びない期間(いわゆる「壁」の状態)が続くことがあります。人によってそのスコアは600だったり900だったり、またその期間も人によって半年だったり3年だったり(あるいはもっと長かったり)、様々です。
別にTOEICのスコアが全てなわけではありませんが、いつまでもスコアが伸びないと何だか今の自分の学習法を全否定されているような気がして、いろいろと別の学習法を試したくなったりします(私だけ(?_?)
もちろん試行錯誤の中でよりよい学習法に巡り合うこともあり、試行錯誤をすること自体は決して悪いことではありません。英語学習に限らず、成果を出す人というのはだいたい間違いを恐れずに試行錯誤します。その過程を恐れないからこそ結果がついてくるのですが、一方、間違った試行錯誤というのもあります。
間違った試行錯誤に陥ってしまうと、余計な労力と時間が奪われてしまいます。未来のある若い人ならそれもよい経験かもしれませんが、アラサー・アラフォー以上の年代には余計な遠回りをしているような余裕はありません・・・特に時間が・・・
今回は私が今までの学習経験でハマってしまった「遠回り」の学習法について書いてみたいと思います。
聞き流し学習の罠
ある程度学習経験のある方はまず引っかかることもないと思いますが、社会人でもブランク期間の長い方や、比較的金銭的に余裕のある高齢者の方で、いまだに「聞き流し系」の教材商法に引っかかる方もいるようです。
「聞き流すだけで英語力UP!!」と言われれば、確かに魅力的ではありますが、世の中そんなにうまい話はありません。ただ聞き流すだけで英語力がつくなら誰も学校に英語を習いに行ったりしないのではないでしょうか。ネットラジオとかで英語を流しっぱなしにしていればよいのですから。
当たり前のことですが、そもそも学習というのは「なんとなく」やるものではなく、意図的に選択した行為だからこそ意味があるのだと思います。
他の記事でも何度か書いたように、単に「聞き流す」だけで英語力が上がるのは初学者が英語の発音になじむ段階くらいに限られます。それ以上いくら聞き流しを続けても、漫然と聞き流すだけでは教材会社の養分になるばかりで、何のスキルも身に付きません。
実際、私は数年間家ではひたすらネットラジオを聞き流すという生活を試しましたが、この間TOEICのスコアはほぼ微動だにしませんでした。
リスニング練習はただ聞き流すだけでは効果がありません。分からないところをスクリプトで確認しながら意識的に集中して繰り返し行うことが大切です。(可能であれば耳で聞いた言葉をそのまま口に出す「シャドーイング」を行うことが最も効果的です。)
「生が一番」の罠
ある程度英語力がついてきた人にありがちなパターンがこの「生の英語に触れるのが一番」という幻想です。
TOEICで700~800点あたりを取れるようになってくると、社会人的にはまあまあ上位の部類に入って周囲からも評価され、それなりに英語力にも自信がついてきますが、往々にしていったんそのあたりでスコアの伸びが頭打ちになるケースがあります。
この時に「学校英語ではこのスコアが限界」などと考えて洋書などのいわゆる「生モノ」の教材に走る人がいますが(私のことです(-_-;)、これは大きな勘違いですので、もしやっている人がいたら直ちにやめてください。
TOEICで800前後取れるようになると、辞書を引きながらであればそこそこ難しい内容のものでも読めるようになっていると思いますので、余計勘違いしてしまいがちなのですが、誤解を恐れずに言うと、TOEIC800前後ではきちんと英語を読み書きしていくためにはボキャブラリーの積み上げが全然足りていない状態です。
にもかかわらず、この段階の人でよく見かけるのが「原書読み流し」学習です。
これは辞書も引かずに分からない部分はただただ読み飛ばして分かったつもりになるという、とても学習法とは言えない学習法なのですが、誰が言いだしたか「辞書を引かずに読む力をつけるのが大事」みたいな戯言を真に受けてしまった人がこのスタイルに陥るケースを周囲で結構見かけます。
当たり前のことですが、この場合「辞書を引かずに読む」というのは全く辞書を引くなという意味ではありません。正しくは「(最初から辞書に頼るのではなくいったんは)辞書を引かずに読みましょう」ということなのです。
日本語の場合は知らない言葉でも漢字から言葉の意味をある程度想像できますが、ヨーロッパ系の言語は分からない単語は基本的に辞書を引かない限り死ぬまで分からないままです。
もちろん原書を教材にすることが一概に悪いわけではありません。原書でもきちんと分からない部分を辞書で調べるなどして適切に活用すれば立派な教材になります。
ただし原書というのは通常教材として練られているわけではなく、教材としての密度は低くなります。つまり原書だけを使って重要度の高い単語や語彙を身に付けるためには密度を補うだけの分量をこなす必要があり、非効率な学習をしなければなりません。
そうやって無理に原書にこだわるよりは、素直にTOEICや英検の教材を併用して学習を進めるほうがはるかに効率的です。
もっとも、「スタバで原書を読んでる私ステキ」みたいな部分もドヤ顔モチベーションUPにつながる面はあったりするので、メインの学習法ではなく趣味や気晴らしとして読む分にはよいかもしれません。。。
グループ英会話レッスンの罠
これは知人から聞いた話です。
知人は英会話力をつけたいと思い、某有名英会話スクールの通学制グループレッスンを受講することにしたのですが、グループレッスンの場合、慣れない英語をしゃべるというプレッシャーに加えて、当然ながら(顔なじみになるまでは)知らない人たちの前でしゃべるという形になります。
もともと人前で話すことが苦手な知人にはそれがどうしても苦痛に感じて、半年分の授業料を前払いしたのに、結局数回通っただけでやめてしまったというのです。何とももったいない・・・
また講師によっては古くからいる人など、一部の生徒とばかり長く話してしまい、新しい生徒がおざなりになってしまうようなケースもあります。
この辺はそのスクールの講師の質というか指導力の問題だと思いますが、せっかく高い授業料を払うのだから、不公平のないように生徒みんなに平等に対応してほしいと感じるのは当然ですよね。
もちろんグループレッスンでもよい先生・よい仲間に巡り合えたりするチャンスもあり、通学ならではのメリットもあると思うのですが、英語力の向上という点で見た場合、通学制のグループレッスンは質的・費用的にコスパに見合わないケースの方が多いように感じます。
会話力の向上という点で言えば、インターネットを利用した個別レッスンの方が通学の手間もなく、時間的にもフレキシブルに利用できるコースがあり、効率的ではないでしょうか。
個別レッスンの方が当然グループ形式よりも密度的に濃い指導が受けられますし、費用に関しても通学制のレッスンではありえないような安いプランの設定もあり、かなりバリエーションが広いです。
デメリットとしては、特に海外の事業者に関してはややもすると講師の質が一定しないという点が挙げられます。
なかには安かろう悪かろうで、人件費が安いのをいいことにほとんど素人というかその辺のおっさんみたいな人が出てきて第二言語まる出しの英語で世間話するだけみたいな詐欺レベルのものもありますので、ある程度スクールの評価は慎重に調べたほうがよいと思います。
また同じ英語ネイティブでも人によってボキャブラリーの水準は相当に違います。特に留学目的の場合はきちんと大学レベルの学術的な話題までフォローできる講師を選ぶことが不可欠です。
もっとも、インターネットのレッスンであれば、合わないと思えばすぐに別の講師・別のスクールに変えてしまうことも簡単ですので、とりあえずあちこち試してまわるというふうにして自分と相性のいいところを探してみるのもいいでしょう。
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