NOTだけが否定じゃない! 否定表現のあれこれ

何度も書いているのですが、私もTOEICのスコアが750辺りで頭打ちになっていたころ、単語学習をしなくなって「これからは生の英語に触れるフェーズだ」みたいな(今にして思えば)無謀としか言いようのない中二病的な勉強をしていた時期がありました。

まあそれはそれで誰しもが通る一つの通過点みたいなものではあるのですが、インプットが不十分なまま辞書も引かずに知ったかで流し読みばかりしてると、時にとんでもない読み違いをすることになったりします。

そういう独学メインの学習者がつまづきがちな英語表現の一つに「隠れ否定」があるので気を付けてください、というのが今日のお題です。。

「隠れ否定」とは

正式にどう呼ぶのかちょっと分からないのですが、英語には形式上は肯定文であっても意味的には否定の文脈になる単語があります。

例えば基本単語でいえば「hardly」(ほとんど~ない)のような単語です。

I could hardly speak when I heard that news. (その知らせを聞いたとき、私はほとんど口もきけなかった)

まあさすがにこれは基本中の基本の単語なので大丈夫だと思いますが(もし知らなかったという方がいたらすぐ基本単語を見直してください (+_+))、もしも「hardly」の意味を知らなかったとするとどうでしょうか? 「私はしゃべることができた」+「知らない謎の副詞」という理解になってしまいますよね。

つまり「hardly」がわからないとその単語の意味(hardly)だけがつかめないのではなく、文章全体の意味を真逆に取り違えてしまうことになるのです。コミュニケーション的には意味を逆に取ってしまうくらいならむしろ全く分からないほうがまし、みたいなことになりかねません。これが「隠れ否定」型の表現の恐ろしいところです。

くどいようですが「原書流し読み」みたいなフィーリング頼りの勉強法にはこういう落とし穴がありますので、独学主体の方はくれぐれも気を付けてください。辞書も引かずにさらさらと読めた気になるのはいいのですが、実は原文の意味を真逆に理解していた(しかも自分では一生それに気づかない)・・・なんてこともざらに起こります。

わたしは最低でも英検準1級、できれば1級の基本語(でる度A~B)あたりまでは単語学習を続けるべきだと思っていますが、こういう隠れ否定型の表現が少なからずあるということもその理由の1つです。

基本的な隠れ否定表現

まずは高校レベルまでのおさらいから。(この辺りの単語でもし知らなかったものが一つでもあるようなら、今一度高校レベルの単語帳に戻って重要語をおさらいして穴をつぶしておきましょう。この系の単語を誤読してるとえらいことになったりしますby経験者談)

barely (かろうじて、やっとのことで)

hardly、scarcely よりは否定の意味が弱めです。

He barely escaped from jail.(彼はどうにか刑務所から脱走した)、みたいな。おいおい。

hardly (ほとんど・・・ない)

can や be abel to をともなって「ほとんど・・・できない」という形で使われることが多いです。

You can hardly escape from the jail. (そのムショから脱走するなんてまずムリだぜ)、っておい。。

rarely(たまに、めったに・・・ない)

文字通りなら「たまに、まれに」ですが、文意としては「めったに・・・ない」という否定的なニュアンスが強い表現です。

I’m rarely in jail. (私はめったに刑務所には入らない)  (;・∀・)・・・。

scarcely(ほとんど・・・ない、とても・・・ではない)

これも基本表現ですね。scarce(乏しい→まれな)からの派生です。

That jail was scarcely a comfortable place.(あのムショはとても快適とはいえなかった(;・∀・)

seldom(めったに・・・ない)

これも大丈夫かと思いますが、この手の単語を聞き逃すと文の意味をまるで取り違えてしまうのでくれぐれも気を付けてください。

He is seldom seen in this jail.(このムショでやつを見かけることはめったにない(;・∀・)

few(ほとんどない・・・)

fewは副詞ではなく数量表現ですが、意味的には否定の文脈で使われる用法が基本で、隠れ否定的な要素が強い単語です。中学英語で出てくる基本的な単語ですが、日本語に同じような使われ方をする単語がないので特に会話の中では感覚的につかみづらかったりします。

Few toilets in jails are equipped with ‘washlet’.(ムショのトイレにウォシュレットがついてるなんてほぼないぜ)

どうでもいいですが、英会話が得意な人って難しい単語を詰め込むよりも、こういう「few」とか「little」みたいな何気ないシンプルな単語をさりげなく使いこなせている人がとても多いような気がします(主観的憶測)

あちなみに「washlet」も「shower toilet」も商品名で、どうしても一般名詞にしたいなら今のところ「bidet」とでも言うしかないようですが、「bidet」は絶対ウォシュレットじゃなーい!! だって男子だもん! おっさんだもん!!

難易度高めの隠れ否定

さて、ここからが今回の本編です。これから挙げるのはわたしが実際にニュースサイトやYoutubeの動画などで見かけたものですので、そこそこ出現頻度も高いワードだと思います。何せ私の耳にすら引っかかるくらいですから、ええ、映画のセリフ全然聞き取れないレベルですからね(自爆

allegedly(伝えられるところでは)

これは動詞 allege(~を主張する)からの派生語です。日常会話ではまず使われないと思いますが、ニュースでは活字メディアでも映像メディアでも結構よく出てきます

否定語ではありませんが、この単語が分からないと話者から見た文全体の位置づけや事実性の程度がつかめなくなるという意味では否定語と共通する機能をもっていますので、要注意の単語です。

使用例としては He allegedly committed a serious crime.(彼は重大犯罪を犯したとされている) みたいに犯罪関係のニュースで使われることが多いのですが、「allegedly」があるのとないのとで全く読みが違ってしまうのがお分かりでしょうか。この単語の意味を知らない人にとっては「彼」は重大犯罪の犯人確定になってしまいます。まだ噂レベルなのに・・・

arguably(きっと、ほぼ間違いなく)

arguable(議論の余地がある、疑わしい)からの派生語です。この単語は否定語でも何でもないのですが、事実性を多少なり弱めるという点と、なぜか派生元の単語と逆の意味合いに使われているという意味で要注意なので挙げてみました。

That jail is arguably the worst hell around here.(あのムショはこの辺じゃ間違いなく最悪だぜ)

ランダムハウスとかで見ると「議論の余地はあるが」→「ほぼ間違いなく」と言う具合に意味がずれていったようです(憶測)。

assumedly(たぶん、おそらく)

これも否定語ではないですが、文全体の事実性を弱める単語という意味で隠れ否定に含めて考えてもいいと思います。

purportedly(~という噂の)

上の「allegedly」ほどは見かけませんが、これもたまに出てきます。微妙な表現ですが、単なる噂レベルの話なのか事実として語っているのかでは全く意味合いが違うので絶対に落とさないようにしたいところです。

He has purportedly committed a jailbreak.(あいつは脱獄したって噂だよ(;・∀・)

なんかこういう細かい単語で読者を引っかける推理小説とか絶対ありそうな気がしますが、はてさて((?_?)

virtually(事実上、ほぼ)

これ見て「バーチャル的に→仮想的に」だと思った人は正直に手を上げてください。ええ、私もそう思ってましたよ、英検の単語帳やるまでは・・・

つい日本語の「バーチャル」の用法に引きずられてしまいやすい単語ですが、「virtual」の原義は「(厳密には違うけど)事実上の、実質上の」という意味です。副詞形の意味もそちらから来ていますので「(厳密には違うけど)実質的には、ほぼ」という意味が基本になります。(この単語も否定のカテゴリーには入らないですが、上の「arguably」と同じ理由で取り上げてみました。)

Virtually our team has won the match.(僕らのチームが事実上試合に勝った)

(厳密には完全に勝利したわけではないけど)試合の中味的にほぼ勝ったも同然だ、というようなニュアンスです。これを「ヴァーチャル的に勝った」なんて誤読するとえらいことになってしまう訳です。。。

もちろん「バーチャル的に」という意味で使われることもありますが、こちらは基本の意味を押さえていれば文脈で容易に見分けることができます。

 

以上、何らかのご参考になれば幸いです。。。

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